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「投げない稽古」が教えてくれたことーMAFサマーキャンプ参加記

  • 執筆者の写真: 無刀会 合気道
    無刀会 合気道
  • 6月26日
  • 読了時間: 2分

アメリカ・ウィスコンシン州ケノーシャで開催されたMidwest Aikido Federation(MAF)主催の夏合宿(サマーキャンプ)に参加した。この合宿は、毎年6月に1週間にわたって開催されており、合気会本部道場の関昭二師範(八段)を講師として迎える恒例の行事である。


会場はウィスコンシン大学パークサイド校の広々とした体育館。参加者は学生寮に宿泊し、食事は学内のダイニングホールで提供される。全日・半日・日単位といった多様な参加形態が用意されており、都合に応じた柔軟な参加が可能だ。私は全日程参加した。

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1週間で15コマ(1日3コマ)という密度の濃い稽古を通じて、どのようなことが学べるのか楽しみだった。
また、会で指導する立場として、関師範がどのように全体を構成し、参加者を導いていくのかにも関心があった。


稽古の内容は、1週間の前半と後半で変化した。前半は、通常通りの稽古。しかし後半になると、参加者の疲労を考慮してか、「投げない稽古」——つまり「崩しまで」に特化した内容へと変わった。

最初は「怪我を防ぐためかな」と思っていたが、やがて気づいたのは、この「投げない稽古」が大切なことを教えてくれる、ということだった。


通常の稽古では、投げられることが前提となるため、受けは崩された後に体勢を立て直す意識を持たず、そのまま投げられてしまうことが多い。また、投げられることへの警戒心から無意識に腕を縮めたり、力んでしまう受けも少なくない。私自身もその一人で、自分の力みに気づかずにいた。


一方で、「投げない稽古」では、崩される過程や、崩されながらもバランスを保とうとする身体の反応に意識を集中させることができる。この稽古法は相手の力の流れに身を委ね、常に動ける体勢を維持することを目的とするものである。 この点で、初心者や高齢の方にとって非常に有効だ。前方回転受け身をとる必要がないため、安心して動くことができる。


加えて、中上級者にとってもこの稽古法は極めて有効である。たとえば、握力に頼らず取りとの接点を保つためには、腕が捻られた際にその方向に自然に身体を運ぶ必要がある。もちろんバランスは崩されるが、崩されても投げられない稽古であるからこそ、その中で姿勢を保ち続けるための工夫が求められる。転がることでリセットせず、身体でバランスを取り続ける力を養う——これは貴重な体験となる。


転がらないからこそ、崩される過程の一つひとつを丁寧に感じ取ることができる。この稽古法は、指導者としても非常に学びが多く、新たな視点と可能性を与えてくれるものであった。

Burloak Aikikai AikidoのBen Peacockさんと
Burloak Aikikai AikidoのBen Peacockさんと

Nobusada Yanagisawa

 
 
 

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